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しゃちょ。のメルマガジーヌ編集後記

#238わかめうどん

どーも。オジコのしゃちょです。

「全米が泣いた!」
なんつって、そんなもん全米が泣く訳ないんだけど、
このよくある洋画のキャッチコピーに近いくらいの感じで、
私の拙い講演を聴いてくださった皆様方には、
泣けるほど感動してもらったかもしれません。って大嘘です。

先日、名古屋観光ホテルにて開催され、
なんと1200人以上もの皆様がお集まりくださった、
某会議での講演が無事に終わりまして、ほっと一息。
なんだかちょっと照れくさい名古屋をすたこら退散しまして、
只今、7年に一度の善光寺御開帳を控える長野に来ています。
そういえば、前回の御開帳も馳せ参じましたのであれから7年。
ながの東急さんとのお付き合いも長いねえ。

で、話を戻しますと、
私のしょーもない下手糞な話では全米どころか猿一匹泣く訳がなく、
元々60分間もみなさんの前でお話するなんてのは、
身に余るお話でして完全に身分不相応。場違いの極致。

そこで思い出したのは、ちょっと前に神戸で入った蕎麦屋。
強烈な空腹を埋める為、物凄い勢いで他人丼を掻き込んでいると、
歳の頃60過ぎとお見受けする素敵な紳士が私の隣の席に座り、
メニューも見ずに「わかめうどん」と渋い低音で一言。

その時、他人丼の長ネギが喉に詰まって死ぬかと思うくらいの、
強い衝撃を受けまして、俺はやっぱり何もわかっちゃいない。
この店のメニューの中で、正解は唯一つ「わかめうどん」。

自分の半生を一瞬で振り返ったところ、そういえば生まれてこの方、
「わかめうどん」を注文したことすらないことに戦慄を覚え愕然。
まあ人並みの経験を積んで38年も生きてきたのにも関わらず、
「わかめうどん」の渋さが全く見えてなかった自分が恥ずかしい。
俺ももっともっと精進に精進を重ね、人間を成長させて、
こういう蕎麦屋で「わかめうどん」を注文できる人間にならなければ、
私を慕ってくれるウチの社員さんやその家族のみなさんに申し訳が立たぬ。
いつまで親子丼でもカツ丼でもない下世話で通俗で凡庸な他人丼なんかを、
ブルドーザーのようにがががと掻き込んでるんだ、俺っちは!
って、何の話だったっけ。って、そーだ、講演の話だ。

そうそう、あの時、あの神戸の蕎麦屋で、
「わかめうどん」も見えてない自分の矮小さを悟った訳でして、
そんなブラインドワカメな私ごときが、
常時、日本経済に影響を与えるようなお仕事をなされている、
他の講師陣の大経営者様や大学教授先生や弁護士先生と同一の場に、
恥ずかしげもなくご一緒に登壇するなんて、
全くもって、冗談はよし子さんでございます。

で、これは何かの悪い冗談、完全なるナイトメアだと開き直り、
当日、腹を括って講師控室とやらの特別なお部屋で待機していますと、
「半ズボン、寒くないですか。」
と気さくに声を掛けてくれる紳士がいらっしゃいまして、
「いえいえ、大丈夫です。ちっとも寒くないでございます。」
とかなんとか、野卑で下賤なお返事をし、紳士と名刺を交換させて頂くと、
なんとなんと、ウチの9歳の息子でも知っているだろう、
誰もが知ってる超有名優良企業の社長様じゃございませんか。
その後、名刺交換をする人する人全員が、ザ・日本の大社長ばっかりで、
頭がクラクラ、喉がカラカラ、心がソワソワ、わけわからん。

一瞬、この人たちはみんな、蕎麦屋でわかめうどんを注文するんだろうな。
なんて思いましたが、そんな妄念は即座に打消し、
「この度はどうもスイマセン。」と初代林家三平師匠のよーに、
何も悪いことをしてないのにどうもスイマセンを連発。
「北陸の田舎から出てきたTシャツ屋ですが、何か。」
なーんて、どーんと構えていればいいのにね。やだねえ。

というわけで、歴史ある某会議。
関係者、ご来場の皆様含め1200人もの人がいらっしゃいましたが、
会場内、半ズボンを穿いているのは、私だけでした。さすがだね!

さーて、会議が終わればこっちのもん。
数か月悩みの種だった懸念事項から解放され身体が軽くなりました。
ストレスフリーを追い風に、軽快なステップ刻んで、
溜めてた仕事をどんどんやっつけてまいりますか!

と、気合が入ったところで、ホテルを出ればここは信州・善光寺。
「そういえば、小腹が減ったなあ。」と、
善光寺参道にある渋い蕎麦屋で、信州の旨いお蕎麦を!
なーんて、入ったお店で注文するのは、初志貫徹のわかめうどん。
はー。蕎麦食べたい。。