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しゃちょ。のメルマガジーヌ編集後記

#239タマが無い

どーも。オジコのしゃちょです。

喉笛が破れそうになりながらも、
ちょっと前のラッドウィンプスなんかを熱唱したりすんのはもうよそう。
と、カラオケに連れて行かれる度に思う訳ですが、
場が温かくなった数10分後、なんだかんだいって、
いちばん盛り上がってるっていうか、いちばんお唄を満喫しているのは、
客観的に見ても、何を隠そうやっぱり自分で、そんなんなら、
はじめから熱唱すんのはもうよそう。なんて、言わなければいい話で、
そんな適当な気持ちでカラオケというものを捉えているのなら、
いっそのこと、そんな喉笛なんて今すぐ破れてしまえ。

というわけで、朝までカラオケ。
先日も終電を逃したお友達の始発が6時半だっていうんで、
そうなってしまった以上、朝までカラオケで時間を潰すしか道はないね。
と、駅前雑居ビルのカラオケボックスにて、
好調な喉を武器に熱唱に熱唱を重ね、でもさすがに4時を過ぎると、
体力的にも喉笛的にもしんどくなって、はー。どうしよう。
と思ったら、部屋の内線が鳴り響き、なんと、その店5時閉店。

やっぱり駅前のカラオケ屋さんは始発の時間まで営業しなくちゃね。
と、ほんのちょっぴり思った訳ですが、
カラオケ屋から放り出されてから、始発までの1時間半が、
今思い出すだけでもおぞましい惨憺たる生き地獄でして、
冷たい雨は降ってるわ、死ぬほど寒いわ、声は枯れるわ、
頭は痛いわ、強烈に眠たいわあわあわあ。

なーんて、全国をふざけ歩いて久々に金沢に戻って参りました。
帰宅早々、放蕩親父の帰還を今か今かと、
待ち侘びていた橙(だいだい。息子。小3。)が、
「おとうさん!キャッチボールしよ!キャッチボールしよ!」と、
我々父子のここ最近のトレンドになってる、
「自宅のリビングを横浜スタジアムに見立てておこなう、
ビニール製のボールを使用した実戦的なシートノック」。
通称、キャッチボールを強くせがんできます。

まあ、私も朝までカラオケに起因する低体温症からの病み上がりで、
完全な本調子ではないどころか長期出張で溜め込んだ疲労がマックス、
心の中でこっそり飼ってる私の20年来の主治医からは、
「息子さんとのキャッチボールは絶対やめるように。あんた死ぬよ。」
と、強く釘を刺されていたのですが、
愛息の零れ落ちそうな笑顔と父譲りのベイスターズ愛を見ると、
父親たるもの重い腰を上げざるを得ません。

私)「ほな、ちょっとだけ、キャッチボールやろか。」

橙)「まじか!やたー!今、タマ探すね!」

と、数分後にはスタートするベイスターズ内野陣のシートノックが、
想像するだに楽しみで楽しみで仕方がなくどうにもならないご様子。

橙)「馬場コーチ!厳しめのやつを頼むね。イージーなのは要らないから。」

私)「了解。わかったから、タマ探せ。」

おいおい、誰が馬場敏史内野守備走塁コーチやねん。
父に向かって馬場コーチはないでしょうよ。
と、少しく思いましたが、まあいいでしょう。
で、それから1分、3分、5分、7分と経過するのですが、
馬場コーチのシートノックは一向に始まらない。。何故か。
答えはひとつ。タマが見つからないから。

私)「おいおい、早くタマ探せよ!」

橙)「どこに置いたかなあ。。くそー。見つからねえ。。」

私)「タマが無いんじゃ無理だな。諦めなよ。」

橙)「いや、絶対探す。どこいったんだよ、キンタマは。」

そうそう、お伝えするのを忘れていましたが、
我々父子のいつも使ってるタマは金色のビニールボールでして、
まあ、通称、キンタマと呼んでおります。すみません。

私)「おいおい、もう15分も経っとるやんか。」

橙)「駄目だ。。どこにもキンタマ無い。。」

私)「出したら出しっぱなし。遊んだら片付けずにそのまんま。」

橙)「うん。。」

私)「お前のそのふざけた態度が招いた結果だな。」

橙)「うん。。」

私)「まあ、キンタマがないんじゃ、どうしようもねえ。」

橙)「うん。。」

私)「キャッチボールは中止。諦めろ。馬場も帰る。」

橙)「うん。。仕方ないね。。」

と、後片付けを疎かにする悪癖がこの局面で足を引っ張り、
三度の飯より大事なキャッチボールが中止に追い込まれた橙。

その意気消沈の度合は傍目に見てるのも可哀相で、
中止が決定した後も横浜スタジアムに居残り、ただ黙々と、
肩を落として部屋の隅々までタマを探す姿は、正にこの世の終わり。
まあ、自業自得だな。出したもんは片付けろ。
一方、こっちは叶うことなら、
全くしたくなかったキャッチボールが中止になって超ラッキー。
お風呂に入って、耳掃除して、行ってきまーす。
と、仕事の残りをやっつけに、車に乗って会社へゴー。

で、翌朝。
かみさんに聞いた話によると、あの後、深夜1時近くまで、
そんなところには絶対ないよ!という場所も探し回ったそうですが、
愛しのキンタマは、結局、見つからず。

あいつのクラスの毎日の課題で、
三行日記ってのがあるそうなんですが、その三行日記にも、

「昨日、お父さんが帰ってきて、
やっとキャッチボールができると思ったら、
家のどこを探してもタマが無く、絶望した。」

と、なんとも可哀相な記述が。。

「息子よ。元気で行こう。絶望するな。」
と太宰の言葉をあいつに贈って今週はおしまい。
書類を探したり、爪切り探したり、たまにあるもんなあ。
息子を反面教師にしっかり5S。
整理整頓清掃清潔躾。ちゃんとやろ。

最後に、東北の震災から4年が経ちました。
今年も微力ですが、被災地のこどもたちに、
何かできることをと考えております。
被災地の一日も早い復興をお祈りするばかりです。