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しゃちょ。のメルマガジーヌ編集後記

#358隣人

どーも。オジコのしゃちょです。

かみさんがキッチンでお皿を洗っている。
その向かい側にあるテーブルで、
椿(つばき。娘。中2。)が英単語を暗記している。

おそらく23時くらいでしょうか。
帰宅したばかりの私は、
携帯でも充電したろか。と椿の前を横切り、
リビングの一角にある充電スペースに向かっていると、

「おとうさーん、問題出してよ!」

と、椿がすがるような眼をしながら、
英単語と対訳がぎっしり書かれたノートを、
私に手渡してくるではありませんか。

詳しいことはよく知りませんが、
生物学的にも哲学的にも真逆の位置関係であろう、
思春期の女子中学生と薄汚れた四十のおっさん。

自分の娘とはいえ、
対極の存在である女子中学生さんに、
このようなフランクな感じでお声を掛けられると、
なんだかちょっぴり嬉しい。

「りょーかい。つばちゃん。お安い御用だ。」

携帯の充電だなんて野暮で不粋な用事は後回し。
かわいい娘の力に今すぐなりたい!と、
深夜にしてはかなり強めの心意気で、
英単語の問題をこれでもかこれでもか!と、
出題してあげることにする。

地方の安スナックのボックス席で、
激しく薄くつくられた角の水割りを呑みながら、
隣のチーママと一緒にカラオケ歌合戦。
フアユー。迷子たーちのろーっぽんぎっ!
ううわー。荻野目ちゃんなんて久々に聴いたわ。
歳ばればれですやん、チーママさん。
なーんてのも、別段嫌いじゃないのだけれども、
よくよく考えてみると、
こんなもんは今まで散々やり尽くしてきた訳で、
もうお腹いっぱい。もういいや。

そんなんじゃなくて、これだよこれ。
自宅で中2の娘と英単語!荻野目ちゃんより英単語!
これぞ幸せ。これが幸せ。
くーっ。至福だなあ。

私)「じゃあ、いくぞ。首都。」

椿)「キャピタル!」

私)「発見する。」

椿)「ディスカバー!」

私)「想像する。」

椿)「イマジン!」

私)「奇妙な。」

椿)「ストレンジ!」

と、抜群の安定感で正解を即答する椿に、
なかなかたいしたもんだなあ。と感心する一方、
何とかして難易度の高そうな英単語を探し出し出題、
思惑通り、椿の不正解を導いて、
来たるべき英単語テストの糧にして頂きたい。
なーんて、優しくもちょっと意地悪な気持ちになる。

英単語ノートをパラパラめくり、
これにしたろ。と、私が白羽の矢を立てたのが、
隣人(neighbor/ネイバー)であります。

私)「つばちゃん。じゃあ、隣人。」

椿)「えっ。隣人!うーん。何だっけかなあ。。」

そうです。そうなんです。
私なりにちょっと狙ったこの「隣人」の出題により、
俄かには信じられない出来事が起きる。いや、起きた。

なんとなんと、ここまで全くの無関心を装い、
我々の横でお皿を洗ってたかみさんが、突如、動く!
出るぞミラクル。出るよミラクル。
その時、歴史が動いた。

私)「つばきー!早く早く!隣人隣人!」

椿)「えーっと。なんだっけなあ、隣人。」

かみさん)「つばちゃん。わかんないの?」

椿)「ちょっと待って。今思い出すから。」

私)「あかん。遅いわ。時間切れや。ぶっぶー。」

椿)「くっっそー。」

私)「よし。じゃあ、かーちゃん。答えを教えてやれ。」

椿)「ってゆうか、おかあさん、わかるの?」

私)「おいおい、椿。ウチのおかあさんを舐めるんじゃねえ。」

椿)「ごめんごめん。じゃあ、おかあさん答えを教えてよ。」

さーて、すべてお膳立ては整いました。
ゆけゆけ!かあちゃん!
バチッと正解をかましてくれ!
ウチのかあちゃんここに在り!を、
娘に見せつけておあげなさい。

私)「じゃあいくぞー。問題。隣人。」

かみさん)「キャロット!」

私)「・・・・・」

椿)「おかあさん。。そりゃ、人参だよ。。」

力が抜けてどうにもならん。

携帯充電して、すぐ寝ます。

おやすみなさい。また明日。