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しゃちょ。のメルマガジーヌ編集後記

#393卒業おめでとう

どーも。オジコのしゃちょです。

本日は橙(だいだい。息子。春から中1。)の卒業式。

息子よ、卒業おめでとう。早いもんだなあ。
ちょっと前まで保育園でお昼寝してたのになあ。
気付いたら身長も母親を一気に抜かして、
私が抜かされるのも時間の問題。
父親譲りの甘いマスクにも更に磨きがかかり、
弱っている人や困っている人やか弱い動物たちに、
優しく接することのできるお前の温かい心は、
誰に似たのか知りませんが、
親の期待以上にいい男に育ってんなあ。
坂口安吾の「親が有っても子は育つ」そのままに、
ろくに家にも帰らない駄目な父親がいても、
子はすくすく育つんだなあ。

阿倍野と谷九と奈良の場末の居酒屋で、
取引先さんたちと連日、朝方まで痛飲。
全く使い物にならない父親は、
今度は東京でお仕事が待っていまして、
やっぱり卒業式には臨席できませんが、
来る中学校生活が味わい深いものになるようにと、
京都駅のホームで新幹線を待ちつつ祈っております。

さて、時計の針を巻き戻して先週の土曜日。

珍しく金沢に戻っていた私は、
烈火の如き勢いで仕事を一掃させまして、
翌日の日曜日をフリーにすることに成功。
しがない中小企業の経営者たる私の辞書には、
休日なんて言の葉は無いのだけれども、
来週の卒業式にも出席できないことだから、
卒業を目前に控えて宿題やメンドクサイ課題も無く、
主将として奮闘した少年野球も引退しちまって、
完全に暇を持て余してる小学生ライフ最後の日曜日に、
父子で何処かにお出掛けしようかしらん。
と、自分勝手に思い立ち、あいつを誘うと大喜び。

「おとーさん!会社行かなくていいの!?」

「午前中だけ会計士さんが来るから行かなくちゃだけど、
お昼にはフリー。ガラ空きです。」

「やったー。嬉しいなあ!」

「ぶはは。喜べ息子よ。で、何処に行こうか?」

「そだねー。何処に行こうかあ。」

「ふーむ。何処に行きゃいいのかなあ。」

「うーん。何処に行ったらいいんだろうねえ。」

普通の日曜日。しかも快晴。
世の中の父子たちは一体、何処へ向かうのでしょうか。
日曜日にお出掛け!なんてゆう経験が一切無い、
激甚にキャリア不足な我が父子は、
何処へ行くのが正しいのか、全くわからない。
まさにぐるぐる回り続ける狂った方位磁針の如し。

水族館や動物園は混んでるだろうし、
兼六園や21美なんかも観光客さんでいっぱいだろうし、
七尾美術館で長谷川等伯でも。と思ったけれども、
ネットで調べると現在、等伯は観られないみたいだし、
意外と嫌いじゃなくむしろ好きな部類に入る、
鏡花の幻想世界を堪能しに、
地元在住ながらも未だ行ったことのない、
泉鏡花記念館へ!とも一瞬思ったけれども、
小6のあいつに鏡花はさすがに難しいだろうし、
近くの公園でキャッチボールなんてのも、
折角の半日フリーには芸が無い様に思われるし。
なーんて、愚図愚図、逡巡すること約5分。

こんなのに答えなんて無い!
自分が行きたいところに行くー!
あいつにとっては、
父親と一緒に過ごせるだけで最高の日曜日。
行き先なんて何処でもいいのだ。
父子で同じ時間を共有できれば。
との、至極全うな考えに至ります。ふう。

「おい!だいだい!行き先決まったぞ!」

「何処?何処?何処に行くの?」

「お隣の福井県までドライブだ。」

「えっ。福井?福井に何があんの?」

「石川に無いものが福井にはたくさんある。」

「そうなんだ。」

「そーだ。恐竜博物館もあるし永平寺も東尋坊もある。」

「恐竜博物館かあ!」

「しかーし、今回は恐竜博物館には行かない。」

「えっ。行かないんだ。」

「そらそうよ。みんなが行くところに行っても仕方がねえだろーよ。」

「まあ、そうかも。」

「イチローも言うてたやんか。
人と違うことをやる。常識なんて破ってなんぼ。
じゃないと、つまらない。なんつって。」

「常識を破んのかあ。じゃあ、何処に行くんだよ。」

「決まってんだろーよ。三国(みくに)だよ。三国競艇。」

「は。三国競艇?」

というわけで、
記念すべき小学生ライフ最後の日曜日。
金沢西インターから高速に乗って小一時間。
我々父子は一路、三国競艇へ!

親が有っても子は育つ。
親が無くても子は育つの逆説。
だめーな親でも子は育つ。
安吾だねえ。無頼だねえ。

世の中の卒業生とご家族のみなさま。
改めまして、ご卒業おめでとうございます!