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しゃちょ。のメルマガジーヌ編集後記

#612妖怪エンカウント

どーも。しゃちょです。

みなさん、聞いて下さい。
先週、妖怪に遭いました。

久し振りに会おうじゃないか!と、
昭和のドラマの台詞みたいな連絡が届き、
うむ。それもまた一興だな!と、
こちらも昭和で返して翌日に合流、
しばらくだったなあ。と旧交を温め、
会食も佳境に入った頃合いに彼が、
この後、どうしても1曲唄いたい。
1曲唄うまで絶対に帰るもんか。
このままお開きなんてあり得ない。
もしそうなれば、お前を呪う。
と、あまりにしつこいので、
貴様、1曲だけだからな。
1曲唄ったらおとなしく帰るんだぜ。
2曲目を唄った瞬間、俺は即座に帰る。
と、昭和の香りを幾分残しつつ、
こちらもしつこく念を押して、
ここ2、3年、足が遠のいていた、
馴染みのカラオケスナックに入る。

で、その場末のカラオケスナック。
マンボウが明けてしばらく経過し、
徐々に常連も戻ってきた時分なのか、
こちらの予想を上回る盛況具合。

しかも、
本日の客筋が良いのだろうね、
すこぶる店の雰囲気がいい!
一人が唄い終われば全員で拍手喝采。
合いの手、コーラス、ハモリは任せろ。
一期一会の客同士で創り上げる、
一夜限りの一体感、高揚感。
こうゆう感じ、久し振りだなあ。

と、ハイボールを飲みながら、
マスターの近況報告を聞きつつ、
案外早く順番が回ってきた、
友人の腐った蛮声を聴いて任務完了。
さーて、ぼちぼち帰ろうかなあ。
と、ちょっと思ったその刹那、
入口の扉がカランコロン開き、
新規客が一名様でご来店。

うわあ。
香ばしいのが入ってきたなあ。

その御仁。
酒焼けか単なる汚れか真っ黒の顔に、
セルフブリーチ大失敗のまだら金髪。

だめーなデニムに、だめーなシャツ、
だめーなスニーカーを履いた御仁は、
どうだろう55歳くらいかなあ。

立ち居振る舞いとだめーなオーラ、
変なネックレスと変な数珠、
異常に細い眉毛とまだら金髪、
入店早々、飲み物を注文する前から、
カウンターの他グループのデンモクを強奪し、
ガチャガチャいじって1曲入れるこの感じ。
もう、だめーな雰囲気が滲み出過ぎてて、
大笑いしそうになるのだけれども、
そこは頑張ってこらえる。

ほんとは、
友人も1曲唄ったことだし、
自分のハイボールも飲み干したし、
もういつでも帰れる局面なのだけれども、
その金髪の御仁が何だか気になるのよね。

と、心の中で逡巡しているうちに、
金髪の御仁が入れた曲のイントロが流れ出す。

うわわわわ!

こいつ!
やっぱりやりよった!

金髪の御仁の驚愕の一発!
それでは聴いてください。

 

 

 

 

 

 

 

尾崎豊、

「I LOVE YOU」

 

 

 

 

 

 

 

「ごめーん、もう帰るわ!」

「すみません、お会計してください。」

「あ。こっちも帰ります。」

「じゃあ、俺も。お勘定!」

「こっちもおあいそ!」

「マスター!チェックしてー!」

あの数分前の一体感は何処へ?
あの数分前のうねりは何処へ?

まだら金髪以外、全員お会計!
久々に見たなあ、妖怪キャクベラシ。